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M&A・事業承継

エクシードのM&A「3つのストーリー」 引き継いだ会社の“これまで”と“その後”

「モノづくりのDNAをつなぐ」という理念のもと、製造業の事業承継を中心としたM&Aにも注力するエクシード。2024年に最初の事業譲渡を受けてから、この2年間で合計3件のM&Aを実現させてきた。それぞれのストーリーとM&Aの“その後”について、代表の田沼優基氏が明かした。

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「M&A(合併と買収)」と一口に言っても、中身は多種多様だ。大企業が成長戦略の一つとして他社を買収するケースもあれば、後継者不在の中小企業が会社を残すために他社に売るケースもある。

 時に「売り手側」を騙すようなM&Aが社会問題になることもある中、M&Aによって「モノづくり業界のDNA」を次世代に引き継ぐことを使命として掲げるのが、合同会社エクシードだ。

「会社員時代、事業を引き継ぐ相手がいないという理由で、技術がありながらも廃業してしまうモノづくり企業を数多く目の当たりにしてきました。そんな日本の『モノづくりのDNA』を引き継いでいかなければという思いで、自ら会社を立ち上げることにしました」

 そう語るのは、同社代表の田沼優基氏。大学卒業後に工業部品の専門商社へ入社し、営業担当として顧客や仕入先企業のもとを走り回った。都心にオフィスを構える有名企業から、いわゆる“町工場”と呼ばれるような数人規模の工場まで、足を運んだ「現場」は多岐にわたる。

「特注のネジや、ミクロン単位の狂いも許されない部品、精緻な手作業によって加工された製品など、私がお世話になったところだけでも、素晴らしい技術をもった会社が大小問わず無数にありました。それらが後継者不在という理由で失われてしまうことに危機感を抱いたのはもちろんのこと、その廃業によって、周辺の関係企業にも大きな影響が及びうる実態なども目の当たりにしたんです。そういった、“日本のモノづくりのエコシステム”全体を次世代につなぐために立ち上げたのがエクシードです」

「責任」を引き継ぐ

 こうして、工業用部品の卸売りを母体にしながら、M&Aによって自らがその技術の担い手となる道を歩み始めたエクシード。「創業当初はとてもM&Aどころではありませんでしたが……」と笑う田沼氏だが、最初のきっかけが訪れるまではそう時間はかからなかった。

「会社が本格始動してから、3年が経った頃でしょうか。当社の営業担当を介して、とある仕入先の企業様から、『後継者を探している』というお話をいただきました」

 相談元の有限会社小川製作所(当時)は、溶接・製缶を得意とする創業40年以上の実力派企業だ。実質的な経営を担う部長も最年少ながら当時70歳。会社の行く先を考えなければならないタイミングに差し掛かっていた。しかし、M&A仲介会社の紹介サービスも利用しながらいくつかの「買い手候補」とは面会を重ねたものの、なかなか成立までは至らない。

 こうした中、ふと目に入ったのが、取引先であるエクシードの会社案内に書かれていた「事業承継」の文字だった。

「ご連絡をいただいてから、まずは営業担当を交えて3人で会うことになりました。このとき、会社の引き継ぎ手を探している理由として先方が何度も口にしていたのが、『40年うちを支えてくれたお客さんには迷惑をかけられない』という言葉でした。モノづくり業界の先輩から、『商売』というものの考え方を教えられた気がします」

 時には食事を共にするなどして面会を重ねるにつれて、田沼氏は「人」としての信頼を獲得。加えて、創業間もなくして売上高が1億円を超えていた点は、先方にとっての安心材料になったのだという。

「同じ業界で長年経営を担われてきた方だからこそ、当社の業績を高く評価してくださったようです。若手の育成のためにその部長は今も会社に残ってくれていますが、『これが最後の自分の役目だ』と言って、私に事業を託してくださいました。『技術』はもちろんのこと、先方が背負っていた『責任』もしっかり引き継いでいかなければならないと、身が引き締まる思いです」

思わぬ“新戦力”

 こうして小川製作所から事業譲渡を受ける形で、エクシードにとってはじめてのM&Aが成立した。田沼氏としては、「社員の皆様がそのまま来てくださることを期待していた」というが、

「引退のタイミングを計っていた70~80代の方々がこれを機に数名退職されたため、逆に新たな人材を確保する必要に迫られました。採用にも苦労はしましたが、ありがたいことに20~30代の若手社員が2人加わってくれました。いまは小川製作所から残っている方々が若手に手取り足取り指導をしてくれていて、『こうやってDNAは引き継がれていくのか』と日々実感しているところです」

 その後には、小川製作所から残っているベテラン社員の紹介で、その“娘婿”まで新戦力として加わったという。

「親族を『ここで働かせたい』と思ってもらえたわけですから、嬉しかったですね。当社に事業を引き継いでくださる側の方々にとっても『良い事業承継だった』と思っていただかなければ意味がありませんから、その意味では、最初に小川製作所とのご縁があったことを幸せに思います」

二社目、三社目の事業承継

 その半年後、金属加工に強みを持つ株式会社徳島エンジニアリングからも事業譲渡を受けることになった。

「徳島エンジニアリングは、小川製作所の顧客企業でした。小川の事業がエクシードに譲渡されたことについて知った徳島の社長から、『経営難に陥っている当社を何とかしてほしい』という相談をいただいたのがきっかけです。話を聞くと、たしかに赤字続きの厳しい状態ではありましたが、コストカットも含めた効率化を図れば十分立て直せると思いました」

 田沼氏が事業を引き継ぐ際に大事にしているのが、「残すために変える」という視点だ。

「事業を引き継がれる側の方々からすると、『会社はなるべくそのままの形で残してほしい』との思いが強く、経営改善に対して抵抗をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。ただ、従来の経営で赤字が出てしまっているのであれば、何かを変えない限り、そのまま倒産に向かってしまうこともまた事実。だからこそ、変えるべき点は変える、という覚悟も持たなければならないと考えています。それこそが、その会社の技術など、『本当に残さないといけないもの』を守ることに繋がるというのが私の考えです」

 二社目のM&Aを経たエクシードの売り上げは、2025年に3億円を突破。順調な成長を続ける中、このたび新たに“三社目”がエクシードに加わることになった。

「鋼材やその加工部品の販売を得意とする株式会社三立、およびそのグループ会社で大型のフライス加工を得意とする三立プランナーアンドワークス株式会社の事業を引き継がせていただくことになりました。実は複数社によるコンペを経て、当社をお選びいただいた経緯があります。中には大企業からの高値の提案もあったといいますが、窓口となった先方の常務と従業員代表のお二方が、『社員の今後を考えるとここが一番良いだろう』と、エクシードを推薦してくださったようです。また、金銭面の条件よりも、当然のように会社の未来を考えてご判断を委ねたオーナー家の皆様には、言い表せないほど敬意を表する次第です」

 少しずつ、しかし着実に、「モノづくりのDNAをつなぐ」という創業理念を果たしつつある田沼代表。

「このような事業承継を行っていくためには、買い手となるエクシードが一層の成長を遂げていく必要があります。これまで通り『人』を大切にしながら、私たちなりにできることを真摯に続けていきたいです」

 会社の規模は変われど、創業時の決意は揺らいでいないようだ。

※企画・編集=合同会社エクシード広報室
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