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経営・挑戦

田沼代表インタビュー「私がエクシードを創業した理由」【前編】



営業マンとして「モノづくりの現場」に触れて

――合同会社エクシードが本格始動して、あっという間に5年が経ちましたね。今回はエクシードの創業理由について深掘りしていきます。まずは田沼代表がモノづくり業界と出会ったきっかけを教えてください。




田沼 私がモノづくり業界との関わりをもったのは、新卒で工業用資材の専門商社に入社したことがきっかけです。



 これといった得意分野があったわけではないのですが、学生時代から漠然と「いつか自分で事業をしてみたい」と考えていたこともあり、「『商い』を幅広く経験できる」「現場に近い仕事ができる」といった理由から、縁あってその会社に入ることになりました。



 入社後は営業担当として、工業用資材を必要とするお客様のもとをまわり、供給するメーカー様と交渉、お客様のもとに届けるという日々に明け暮れました。両者とも基本的には「工場」ですから、様々な製造現場を目の当たりにすることになります。10代が元気に働く現場、女性比率の高い現場、親族で力を合わせて働く現場、そして、後継者のいない高齢の夫婦が細々と営む現場――。

 

 当時、「事業承継」という言葉が一世を風靡し始めた頃でした。町工場をかけまわっていた私にとって、それはまさに肌身に感じる切実な課題そのもの。とても他社ではマネできないであろう加工技術を持っていながら、後継者の不在に悩む経営者を何人も見てきました。実際に悔やまれながら廃業に至った会社もありました。

 

 いくら社会的な課題として大きく報じられていても、仮に私が全く別の業界に就職していたら、「大変だな」くらいにしか思っていなかったかもしれません。しかし現場をこの目で見て、生の声を聞いてきた私にとって、それはとても他人事とは思えなくなっていきました。



後継者不足は“当事者”だけの問題ではない

――間近に廃業を見てきたからこそ、今も「事業承継」にこだわっているのですね。


 

田沼 一つの会社が廃業することは、技術が途絶えるという問題だけに留まりません。


 

 創業100年近いとあるメーカーのお客様から、こんな相談をいただいたことがあります。

 

「うちが何十年もネジを仕入れさせてもらっている会社があるのですが、高齢の夫婦二人で経営していて、体力的にかなり大変そうなんです。引き継ぐ人もいない様子ですから、もしかしたら近々廃業も考えているかもしれません。うちはネジのことはずっとその会社に任せっきりでしたから、もしそうなったらどうやって部品を仕入れたらいいか、社内でわかる者が誰もいないんです。『廃業するつもりならいつも仕入れている商品について詳しく教えてほしい』なんて今さら言えないですし、どうしたものかと……」


 

 お世話になっているお客様からの相談ですから、すぐに発注に結び付くことでないとしても、無下にはできません。それまでに培ってきた取引先とのネットワークを総動員し仕入ルートを特定し製品の引き継ぎを行うことに成功しました。いざというときには当社から納品できる見込みを立てることはできました。そしてほどなくして、その高齢のご夫婦のネジ会社は廃業に至ってしまいました。

 

 ギリギリのところでお客様の供給体制を維持することができたのは、不幸中の幸いといえるでしょうか。でもそこで気づいたのです。「技術のある会社の廃業は、当事者だけの問題ではない」と。

 

 一つの会社の営みには必ず、取引先となる会社が存在します。つまり仮に当事者が納得した上での廃業だったとしても、その周りで影響を被る会社がたくさんあり、場合によっては、周囲の存続が危ぶまれるほどの事態にもなりかねない。小さな会社の結びつきが強い世界だからこそ、町工場一つの廃業が意味することは、想像以上に大きいものだと思い知ったのです。

 

――後編へ
 製造現場が抱える課題を目の当たりにした田沼代表は、勤務先に事業承継を提案。しかし会社側の回答は……。安定した会社員生活を離れ、エクシード創業を決断するまでの過程を、後編でたどります。

後編を読む|会社員としてできることの限界]
 
※企画・編集=合同会社エクシード広報室
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